中野亜里教授ご逝去
訃報に代えて
大東文化大学 政治学科の中野亜里(なかの あり)教授が、3か月近くにわたる闘病の末、2021年1月9日 14時40分にご逝去されました。突然の訃報は、ご家族、ご友人、同僚、学生、そして研究者の皆様に大きな衝撃と悲しみを与えました。とりわけ、生前先生にお導きをいただき、お世話になってきた日本在住ベトナム人協会のメンバーにとっては、特に深い悲しみとなりました。教授職に就かれる前から、先生はベトナムの政治・経済・社会情勢に関する研究で著名なベトナム研究者でいらっしゃいました。日本の研究者の中でも稀な存在として、学生時代から心を寄せてきた一党独裁体制の状況改善のため、ベトナム社会の暗部・隠された側面を率直に分析し、世に問うてこられました。ある御縁により、本協会の月刊誌は、先生の代表的な人権研究書『ベトナムの人権 — 多元的民主化の可能性』(2009年4月刊行)に対して書評を寄稿させていただく光栄に与りました(添付画像)。本書は、先生ご自身が多大な時間と労力をかけて収集された資料・情報、そして時には共産党政権による身の安全への脅威に直面しながら行われた現地調査の成果をまとめたものです。「ベトナムの政治体制を決めるべきは、ベトナム国民自身である。ベトナムの指導者たちは、歴史を総点検し、過去の政策の過ちを認め、かつて敵とみなした人々と和解できるようにならなければならない。だからこそ、人権の現状から目を背けることは決してできない」 — 430ページに及ぶこの研究書は、このように結ばれています。本書の刊行から10年以上が経過しますが、人権は今もすべてのベトナム人にとって渇望し続ける願いであり、民主化の願いはいまだ実現されていません。それなのに、著者ご本人は今、永遠の世界へと旅立たれてしまいました。深い哀悼と感謝の念を込めて、先生の御霊が安らかに憩われんことを心よりお祈り申し上げます。
どんなトンネルにも、必ず光は差し込みます。
ベトナム国民一人ひとりが、自らの政治体制を自分自身で決められる日が来たそのとき、私たち民族は再び、先生の学究人生に込められた魂の言葉に深く感謝することになるでしょう。
謹んで哀悼の意を表します。







